このHPは、自家用軽飛行機「ハスキー」でアラスカを飛んだ飛行家の記録サイトです

Allakaket(アラカケ)

Allakaket

village_logo-allakaket.jpgアラカケ村
Population : 97 
Field Elevation : 600 feet

This area was originally a place where the Kobuk Eskimo and the Koyukukhotana Athabascans met t trade goods.
Runway condition : gravel
Husky Landing : 2

アラカケは、ベテルスの南にあるアサバスカン・インディアンの村。アラカケ川の南側がアラカケで、対岸の北側にはエスキモーの村である「アラトナ」がある。かつてこの地は、エスキモーとインディアンの交易所であったらしい。ということは、この両村を分断するアラカケ川がエスキモーとインディアンの境界であったのだろうか。いつもベテルスの影に隠れて立ち寄ることが少ない村だったが、仕事の関係で2回着陸した。飛行場と中心部は離れているので立ち寄ることがついになかった。始めて訪れた時の黄葉の美しさは今でも忘れられない。

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アラカケ川のほとりにあるインディアン村がアラカケ村
(すこし奥の対岸には、アラトナというエスキモー村がある)

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黄葉に包まれた村中心部

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この川はアラトナ川。アラカケ川に合流、ブルックス山脈が源流。
合流部にあるアラカケ村が見えるだろうか。

Ambler(アンブラー)

Ambler

village_logo.jpgアンブラー村

Population : 309 
Field Elevation : 135 feet

Long cold winters / Warm summers
Average Winter Snowfall: 103cm
Runway condition : gravel
Husky Landing : 3

 コブック川沿いにある高台にある村。ここは、いつも旅の最後の方だったので、スルー的な感じで訪れることが多く、あまり村人と話す機会がなかったため村の雰囲気も印象が薄い。飛行場と村が遠くさらに丘の上なので、自転車が役に立つ。2010年の早朝に見たコブック川の静けさと川沿いに立ち並ぶ家の風景は、静寂そのものであった。

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アンブラー村の全体
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家の周りはガラクタだらけに見えるが、そのガラクタを捨てずに何かに再利用する精神があるのだ。

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Anaktuvuk Pass(アナクトブック・パス)

Anaktuvuk Pass

village_logo-1.jpgアナクトブックパス村
Population : 315
Field Elevation : 2200 feet

Daily maximum Temp higher than freezing only 142 days of the year.
Average Winter Snowfall: 160cm
Runway condition : gravel / Slope
Husky Landing : 6

 2007年の北極海バロー行きから、かなり通っているブルックス山脈のただ中にある美しい村。内陸なのに村人はエスキモー民族であり、温厚で人なつっこくかなり好印象な村。村の周囲は、巨大な山々で囲まれ美しいを通り越して、非常に荘厳な景色である。湯口的には先住民村で最も美しい村だと思う。機会があれば、ぜひ尋ねてみると良いだろう。フェアバンクスから直行便も出ている。

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8月下旬、黄葉が終わりかけているアナクトブックパス村。

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着陸後、飛行場から東の風景。May. 2010

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町並みとブルックスの山々。この村は標高約700m。すでにフェアバンクスでは夏の様相であるのに、この年のブルックス山脈以北は雪解けが例年より遅かった。May.2010

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村の人々は、アーゴと呼ばれる水陸両用6輪車を生活の足としている。アラスカのその他の村では、4輪バギー(4wheeler)がメジャーである点で大きく違っている。この村の周囲のツンドラ地形の移動が難しいためであろう。住民はこのアーゴに乗って、生活の足だけでなく狩猟採取にも出かけるのである。

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村のゴミ箱に書かれた合い言葉。「狩猟は我々の伝統だ」エスキモー先住民である彼らは、狩猟に対して誇りを持ち、主にカリブーなどを獲って生活の糧にしている。もちろん飛行機で物資が運ばれている時代それがすべてではないが。

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村を歩いている時に見つけた「カリブーのツノ置き場」。向こう側に見える山は「マウント・オカ」。明治大学の岡教授にちなんでつけられた名称。

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2008年8月、晴天のアナクトブックパス村を少し外れた場所にて。信じられない開放感にひたりながら、人生のネジを少し緩める旅の相棒のカジ君。世界は素晴らしい。

Aniak(エニアック)

Aniak

village_logo-2.jpgエニアック村
Population : 594
Field Elevation : 80 feet

Maritime in the summer continental in the winter. Expect snow between late Sep. and May. Strong winds commom, especialy winter.
Average Winter Snowfall: 215cm
Runway condition : paved
Husky Landing : 4

 Bethelの90マイル北西に位置する、カスコクイム川中流域の航空機にとっての拠点。ここでは燃料が入れられるので、よく着陸した。Inland Aviation(内陸航空サービス)のオヤジが「おう!よく戻ってきたな!」と気前よく迎えてくれるのが嬉しかった。このエニアックは拠点村らしく滑走路は舗装のみなので、ハスキーのタイヤ保護のため滑走路外の路肩着陸を何度も行った。舗装されている滑走路に着陸すると、ハスキーのでっかいタイヤががっちりとグリップして、タイヤは減るし、コントロールしにくかったりと、良いことがないためだ。
この村の紅葉時期には見事な黄色で彩られる。着陸時にもついついウットリしがちですが、管制サービスがなく飛行機の離発着が多いので、索敵(他機の見張り)をしっかりしましょう。

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Anvik(アンビック)

Anvik

village_logo-3.jpgアンビック村

Population : 104
Field Elevation : 325 feet

Continental climate.
Average Winter Snowfall: 279cm
Runway condition : new gravel
Husky Landing : 3

 ユーコン川中流域の最後らへんにある小さな村。高台にある飛行場は最近建設されたもので綺麗な状態。学校は飛行場の近くにあるがこちらは古い。村の中心が写真のように丘の下にあるので3回訪れても村人と話すことはなかった。2010年、もの凄い雨雲(とっても美しい夕立)が、この村の南西から近づいてきて、急いで用をすまして離陸したことが記憶に新しい。たぶん村人は、ユーコン川の流れを見ているから、のんびりしているんだろうなぁ。もしネイティブな人になってアラスカに住むなら、ユーコン川のほとりも悪くないと思う。

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(アンビック川とユーコン川交流点上空から撮影)

Barrow(バロー)

Barrow

village_logo-4.jpgバロー村(N71"'17’ W156"47')
Population : 3500
Field Elevation : 20 feet

The sun rises May 10 and does not set until Aug 2. When the sun disappears at noon Nov. 18 it does not appear again until noon Jan. 24.

Runway condition : paved
Husky Landing : 1

 北極海に面したアラスカ最北端の村、10マイル北東にアラスカ物語(新田次郎・著)で有名なポイントバローがある。2007年に初めての飛行旅の目標地点として目指した村。村と言っても人口は約5000人で、村には巨大スーパーがありアメリカ的な暮らしが普通にできる。私が滞在した7月は、もちろん白夜で北極海に沈まぬ太陽が印象的だった。村に行けば、北極海が間近に見られるので、確かに最果ての雰囲気もある・・が、いかんせん村が大きすぎるので、想像している寒々しさは、同じ北極海の村、カクトビックに一歩譲ることになるだろう。アラスカに来るような人は、特にそう思うに違いない。
*写真はポイントバロー(砂州の向こう側にバローの町がある)

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ポイント・バローと北極海(東から2007/7月撮影)

Beaver(ビーバー)

Beaver

village_logo-5.jpgビーバー村
GPS N66"'21’ W147"23'
ユーコン川中流域沿いの村

Population : 110
Field Elevation : 365 feet



Runway condition : gravel
Husky Landing : 3

 ユーコン川中流域、ユーコンドラフター(ユーコン川を漂流する人たち)がたぶん必ず訪れるであろう村。1900年代初頭、生活困窮に陥っていたエスキモー達を引き連れて、北極海沿岸の村バローから新天地ビーバー村を建設する「アラスカのモーゼ、フランク安田」の物語である新田次郎「アラスカ物語」を読めばきっと必ず訪ねたくなる村だ。村自体は、人口が60名程度の極めてちいさな村である。2007年に寄ってからもうくることはないだろう、、なんて思っていたら、その後2回も飛ぶことになり、、、その都度、フランク安田氏のお墓をお参りにいきました。アラスカ辺境の地で日本人を感じることが出来る数少ないむらですから、「アラスカ物語」を読んで興味を持ったら行ってもいいかもしれません。ただし、カヌーの旅は、、、あまりお勧めできないかなぁ。(理由は、私がのんびりカヌーに興味がないからですが)

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Breving Mission(ブレイビング・ミッション)

Breving Mission

village_logo-6.jpgブレイビング・ミッション村
Seward半島西側、Teller村の近隣に位置

Population : 234
Field Elevation : 25 feet

Maritime climate when the bering Sea is ice-free from early Jun. to mid Nov. Freezing of the sea causes a change to a more continental climate.

Average Winter Snowfall: 127cm
Runway condition : gravel / tend to strong wind
Husky Landing : 3

飛行機でこの村の上空までたどり着くと、最初にクロスしている滑走路が十字架に見えたのは私だけだろうか?ノームから、ちょいと西へ飛ぶと見えてくる美しいベーリング海に面している村が、ブレイビングミッションである。いかにも漁業が盛んそうだが、それだけでなく北にある山には鉱山があったりする。この村は、スペイン風邪の来襲にさらされてからの面白いエピソードがあるが、それはリンク先を参照されたい。となりのテラーとは姉妹村?テラーから分離したのがこの村の発祥。村人は、かなり明るい雰囲気で私を出迎えてくれる。とくに子供達の元気の良さが印象的であった。

スペイン風邪とブレイビングミッションストーリー

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Bettles(ベテルス)

Bettles

village_logo-7.jpgベテルス村
コユクック川沿いブルックス山脈の南に位置

Population : 43
Field Elevation : 624 feet

Semiarid and subarctic. January temperatures average -9F, with winter winds making it colder. Summer temperatures average 75F, with rain and sun, and frost possible.

Runway condition : gravel
Husky Landing : many times

ブルックス山脈の南、夏は比較的風も弱く安定した天候で、ブッシュパイロット野郎のための飛行基地であるのがここ「ベテルス」である。私も何度もこの村にはお世話になっており、飛行機のガソリンはもちろんのこと、食事、ビール(!!!)テントを張る場所、ベテルスロッジのレストランで働いているおねえちゃん達の笑顔の癒し(!)など、不毛で男臭い飛行旅を続けている我々ブッシュパイロットにとって癒しの場でもある。アラスカの他の村、たとえば、エスキモーやインディアンの住む先住民村にはこういった気の利いたサービスを伴うロッジなどは皆無である。先住民村では、基本的にアルコールはダメ、安くていい感じのホテルもない。金銭による宿泊、食事などのサービス提供という概念は先住民村では「ない」のがあたりまえ。そういうサービスは「白人社会」によるところが大きい、、ということを知らしめてくれるのが、ここベテルスという村である。どんな荒野を目指していても、西欧基点の便利でゆるい文化を知ってしまった我々は、シャワーとビールが必要だ・・・すなわち、どんなに偉そうなことを言ったって「たまにアウトドアもしてる文明人」でしかないのだ。

 ベテルスロッジでは、実に様々な思い出がある。夜間、フェアバンクスへ飛び立って悪天候で引き返した来た時や、北極海沿岸部から悪天のブルックス山脈を越えて、やっとベテルスを見た時の何とも言えない安堵感は、死線を越えたブッシュパイロットでなければ分からないだろう。そういった危険からの生還を伴う安堵感は、いくら金を払っても味わえないものであり、それこそがアラスカを単独で飛ぶ大きな理由だったりする。そういうストイックの母親とも言うべき存在がベテルスである。ベッドがあって、うまいメシにありつけて、しかもビール付きの・・・そんな場所はアラスカでは非常に貴重な場所であり、我々ブッシュパイロットの心のふるさとNo.2なのである。(ちなみにNo.1は、フェアバンクスの故Shukoさん宅)

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飛行場に隣接するベテルスは、こんなに小さい。向こう側に見える川は北のブルックス山脈からやってくるコユクック川。

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飛行場の西側から。飛行場に着陸し直付け(庭に飛行機を駐機)してすぐにランチにありつける場所にベテルスロッジがある。左上、コユクック川沿いにあるもう1つの集落は、別の村でエバンスビルという名がある。

Buckland(バックランド)

Buckland

village_logo-9.jpgバックランド村
Sewward半島の北側付け根、Kotzebue湾から少し内陸側に位置する

Population : 442
Field Elevation : unknown

Transitional zone characterized by long, cold winters and cool summers.
Average Winter Snowfall: 93cm

Runway condition : gravel
Husky Landing : 3

おおよそアラスカの先住民村というものは、地形上なにかしらの特徴を持つ場所〜たとえば、入江とか岬の近くとか、目立つ地形に位置する場合が多いのだが(少なくとも飛んでいて、そう感じて納得することが多い)、ここバックランドは、なんの変哲もない川にいきなり出てくるので、パイロットとしては突拍子なく出現するように感じる村である。この村の変遷を調べると、どうやらここら辺に住んでいた人々(BuckLand people)は、クジラやアザラシ猟、またはトナカイ猟のために定期的に移動を繰り返していたらしい。しかしながら1920年にオールド・バックランド(現在のバックランドから1マイル下流)といわれる場所から、現在のバックランドへ定住的な移動をしたようだ。
この村は位置的に、旅の終わりでヘトヘトになっている終盤戦であることが多く、すでにフェアバンクスでの熱いシャワーとウマイご飯を切望している事が多かったので、辛い思い出ばかりだ。2008年にカジ君と、やむなくこの村の飛行場にテントを張って泊まった時の、あの村人達の深夜のバギー音の怖さは「暴走族が襲ってくる!?」という種類の怖さであった。今考えてみると、村人達、物珍しくてグルグル回っていただけなんだけどね。

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蛇行した川沿いに位置するバックランド(離陸直後、東から撮影 Aug.2009)

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街の中心部、一番大きな建物が学校。

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村の象徴的移動手段、4wheeler(フォーウィーラー)と飛行場にあるBuckLandの看板

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バックランドを西から撮影(2008.Aug)

Chalkyitsik(チャルキーシック)

chalkyitsik

village_logo-8.jpgチャルキーシック村
フォートユーコン川の45マイル東に位置する
Population : 83
Field Elevation : 560 feet

Summers are generally hot with some cool and rainy weather ; mean temp in july is 80F. Winter are cold, with the mean monthly temp in Jan -60F.

Runway condition : gravel
Husky Landing : 2

二回ほど、お仕事で通ったほんとうにアラスカの東端にある小さな村。ユーコン川にいずれ接続する川そばにある。もともとアサバスカン・インディアンの季節的なFish Campの場所であった。chalkyitsik(チャルキーシック)という舌をかみそうな名前の由来は、「fish with a hook at the mouth of the creek」*1であるらしい。訪れた時は村人と会うこともなかったので、あまり印象はない。村に立つ境界とススキの風景が美しかった。
 この村の南からユーコン川方面で2009年に山火事が発生して、そのときの飛行は非常に厳しかった思い出がある。完全に視界が閉ざされ、生ぬるい煙の中を計器飛行しながらユーコン川へ脱出したのだ。
 あまりにも知られることはなさそうな場所にある村だが、2010年の最後に行った村であったので、離陸の際は少し感傷的になったものだ。
*1:THE ALASKA WILDERNESS GUIDE(8th Edition)より

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山火事で霞んでいるチャルキーシック村(2009.July)

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村に建つ教会

Tnana(タナナ)

Tnana

village_logo.jpgタナナ村
Population : 308
Field Elevation : 227 feet
ある村人によると、9月は晴天で涼しく、3〜4月が寒くて晴天なので最も良い季節であるとのこと。(THE ALASKA WILDERNESS GUIDE(8th Edition)より)
Runway condition : gravel
Husky Landing : 2

tanana (1).jpgタナナ村とユーコン川 (手前は飛行場)

ユーコン川とタナナ川の合流地点に位置する比較的フェアバンクスに近い村。とはいっても陸路はないので現実的には空路を使うことになるだろう。私は2回しか着陸せず、しかも飛行場周辺のみの散策に終わったのであまりこの村の印象はない。しかしながらフェアバンクスの住人の間では、タナナという言葉をよく聞くのは、比較的この町がフェアバンクスから近いためであろう。タナナで獲れたキングサーモンを友人の家で頂くのが毎年秋の楽しみであった。ここのキングサーモン(通称ユーコンキング)は、尋常じゃないほど脂がのっていて、味わいは鮭ではなくブリであるかのような・・・ウットリするのである。

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冬期間に凍り付くアラスカの川は、もちろん春になると溶け出し川を流れるのであるが、その姿は上空から見ると圧巻である。5月上旬に飛行でもまだ氷は残っており、氷の造型が自然のパワーを見せつけてくれる。

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タナナ村まで来ると溶けているもののこの氷が河川敷を削る音は、もの凄い轟音だそうである。

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それにしても、タナナのユーコンキング、もう一度食べたいな・・・